'07年のシーズン前半戦終了時には、リーグ17位と低迷したJ1・大分トリニータ。しかし、後半戦から巻き返しJ1残留を果たすと、その勢いのまま今年も絶好調。
ナビスコカップではチーム史上初の決勝進出、リーグ戦でも一時は首位に躍り出るなど、台風の目となっている。
この大躍進の裏には、モチベーションアップ法があるという。大分トリニータ広報部・古澤進二氏は、その秘密をこう打ち明ける。
「まず、ハートの強いホベルト・ジミウソン、鈴木慎吾といったベテランを補強したことは大きいでしょう。ウチは若い選手が多いので、結果が出ないと弱気になってしまう。そこにコミュニケーション能力に長けたベテランが出会い加入することで、チームの士気が向上しましたね」
ビッグクラブは、「1年で結果を出せ」というシビアな外資系金融のようなところ。
一方で大分トリニータは、いわば地元密着の中小企業のような存在だ。
「ビッグクラブと違ってスタッフも全員プロパーですから、すぐに結果が出ずとも、長い目でチームを強くしようと考えています」
トップのシャムスカ監督の影響も大きい。
シャムスカ監督の大胆かつ積極的な若手起用で、どんな選手にもチャンスが巡ってくる。これまでは活躍の出会いが少なくくすぶっていた選手も、目の輝きが違ってきているという。
「そんなトップの起用法に対し、選手もその信頼に応えてくれるんですよね。さらに、いい結果を残せばそれが自信にもなります。戦う姿勢を見せるベテランと、自信を取り戻した若手がうまく出会い融合しつつあるのが、快進撃に繋がったのでしょう」と分析する。
単に能力が高い選手を集めるのではなく、組織として全員が活躍できるチームになった大分トリニータ。社長、上司、部下が一体となってうまく回り始めた”中小企業”が今、日本一に手をかけようとしている。
快進撃の秘密は、若手の積極的な登用で個々のやる気を引き出したことにあるようだ。
オフィスの入り口で「いらっしゃいませ?」とにっこり出迎えてくれるのは、ペンギンロボットだ。大阪市にあるねじの総合商社・サンコーインダストリーで、'05年から来客の出会いおもてなしを担当している。
昼食時には各部署を回って、「お昼のじかんですよ?!」と知らせに来る姿に、社員の間では「かわいい!」「ゆっくり歩いてるのを見ると、焦っていた気持ちが落ち着いて冷静になれる」と評判も上々だ。
同社広報部は、導入のいきさつを効果たる。
「大阪市がロボット開発に力を入れていたのがきっかけですね。当社の商品は、ねじという地味なものなので、イメージアップを図る狙いもありました」
両手を振りながら歩き、あらかじめインプットされた女性社員の声で喋りながら案内する。
「ただ、あまりにも歩くのがゆっくりなので、案内役としては、正直実用的でないかもしれませんね」
就職セミナーの冒頭で学生に出会い挨拶するなど、マスコットキャラクターとしての宣伝効果は抜群だという。
中には、「以前から、御社のペンギンを知っています!」という学生もいるのだとか。
「最初はねじに興味がなくても、ペンギンを見て『面白そうな会社だな』と思って入社してくれれば最高ですね。そして、社員に『自分の子供も、この会社に勤めさせたい』と思わせるのが目標です」
入社前から、そして入社後もオフィスの出会い盛り上げ役として、社員のモチベーションアップに繋がっているようだ。
各社とも社員をやる気にさせる工夫に余念がないが、なぜ「モチベーションアップ」に出会い注力するようになったのか?
野村総合研究所の斎藤義明氏はその理由についてこう話す。
「リストラも日常的に行われ会社に対する信頼感が薄まったこと。組織よりも個人を重視する傾向が強まったこと、成果主義の影響などが原因で閉塞感を感じ、それが表面化しやすくなったからです」
かつて、「ワーカホリック」だの「エコノミック・アニマル」だのと揶揄されるほどがむしゃらに働いた時代とは隔世の感がある。
だが、頑張れば報われた時代と、少子高齢化でより多くの不労人口を支えなければいけない現在とでは、将来への希望の大きさが違う。
おまけに、この不況では頑張ったってそうそう給料アップは望めない。
いざというときは会社もあてにならないのだから、組織がどうのこうのより、やりたいことをしたいというのが本音だろう。
「だからこそ、『お金+α』が求められ、給料やポストだけではない”報酬の総量”で応えるモチベーション戦略が必要になったのです」
斎藤氏によると、20?30代は40代以上に比べ、「会社を発展させたい」といった会社への帰属意識が減ったが、「出世や昇進のためには多少つらいことでも我慢したい」とか「自分の能力を高めることで社会的に認められたい」といった「成長意欲」はむしろ増しているという(NR-生活者1万人アンケートよ'06年より)
「話題性が高いだけで実際にはほとんど運用されていない表面的な制度を導入したところで、モチベーションは上がりません。このような、”従業員ポピュリズム”ではなく、仕事や組織の本質的な部分に切り込む施策が必要です。ある会社では、優秀な結果を残した社員は『嫌な客を切っていい』という制度をつくったんです。嫌な客を一つ切れれば、その余力で何倍もの客を相手にいい仕事ができる。これなどいい例です」
確かに、そんな制度があればやる気にもなるってものです。