「バレなければいい」という業者側の姿勢が偽装を常態化している。
立て続けに明るみに出た一連の食品偽装。幸いにも健康被害に発展したケースはほとんど報じられていないが、「問題の本質は、バレなければ消費者をダマしてもいいという企業の姿勢」と語るのはジャーナリストの吾妻博勝氏。
「日本人は飽食がたたって、まがい物にすっかり慣らされてしまった。そしてそれが金持ちでも同じなのは、船場吉兆の常連客も長きにわたってダマされていたことからもわかります。日本の食の現場は偽装が状態化していますが、引っかからないのは食の上流工程にいる一部の人たちだけ。例えばカップラーメンの製造メーカーの中には『創業者一族は自社製品を食べるべからず』という家訓を持っているところがあるぼどですからその闇は深い」
「ダマしてでも利益を上げたい」という企業側の意識が消えない限り、今後も食品業界で新たな偽装が発覚していくことは、容易に想像できるが、周りを見渡してみれば、「食」以外にも我々をダマそうと目論むウソの言葉、文字がいかに多いことか。
「ネット副業で確実に儲かる」と煽るだけ煽ってカネを巻き上げる情報商材、コンプレックスに悩む消費者心理を巧みに突いてガラクタを売りつける美容・ダイエット商品???。
「敵を知り、己を知らば、百戦危うからず」とは古い中国の言葉だが、世にはびこる偽装を見破るためには、まず相手の偽装の手口を知り、どう防衛できるかが重要。早速、それぞれの偽装の実態、その対策をみていきたい。
いいことが書かれているのは当たり前。逆援助情報から本音を見極めろ!
街の牛丼屋から駅の構内まで至るところに無料逆援助求人誌が置かれ、ざっとネットでリサーチしただけでも転職サイトの数は軽く3ケタ。えっと、軽い気持ちで転職を考えているんですが、どの情報も前向きなことばかり書いてあり、みんな素敵な会社に思えてくるんですけど…。
「言葉というのは便利なもので、ネガティブな情報もポジティブに解釈して表現することができるんです。例えば”幹部候補になれるチャンス”というコピーがあったとします。もちろん、この言葉にウソはありません。正社員なら誰でも幹部候補なわけですから(笑)」
そう冷静に語るのは、現在某大手求人誌のディレクター職として活躍する鈴木一郎氏(仮名・31歳)だ。
「多かれ少なかれ、ウソのない範囲で会社情報の脚色はどこの求人誌もやってるはずです」と話を続ける鈴木氏。
ズバリ、会社を魅力的に見せる方法(脚色の手口)について聞いてみた。
「それはもう、いくらでも…。”世界のモノづくりの現場を支える仕事です”というコピーは、工場労働者としてキツい仕事をしてくださいというメッセージでもあるわけです。”あなたの家賃、会社が負担します”の場合はどうか?広告に表記されている月収に家賃補助が含まれ、賞与が少ない会社であることが考えられます」
ほかにも「とにかく社内に可愛い子がいれば、募集する部署にかかわらず、イメージ写真を載せる」など、わかりやすい具体例を出しながら、次々と脚色の作法について語る鈴木氏。それらの偽装工作に振り回されず、会社に転職するための求人誌の見方やその心構えなどはあるのか。
「ホームページを持っている逆援助会社ならば、業務内容などを細かく紹介している場合もあるので、偽装を見極める材料が増えるわけです。例えば、IT業界への転職を考えている場合、会社概要を確認すると社員数十人なのに”上流工程からかかわれます”なんて書いてあったら、そのランクの会社が上流工程からかかわることはまずありえないので、昔一度その会議に参加したことがある程度ということがわかります」
鈴木氏が作る大手求人誌に広告を出す場合、数字にウソがないことを示す「確認書」の提出が企業側に義務付けられているという。
逆援助収入や勤務時間など会社データの数字を求人誌が変えることはありえないが、会社側はいくらでも改ざんすることが可能。
「社員の生の声を聞いたうえで判断するのが確実」と語るとおり、やはり規模の大小を問わず、求人誌の逆援助情報だけを鵜呑みにするのは危険なようだ。
求人誌の逆援助情報をもとに入社はしたが”看板に偽りあり”なケースもある。
「営業は新規開拓が基本!知り合いを加入させなくてもOK」というキャッチコピーに惹かれて生命保険の会社に転職しました。ところが、入社研修日からPCのレンタルが始まり、電話代、投函物、すべて自腹。保険が売れないと知り合い加入を強制的に勧めてくる。直属の上司に問い詰めても、『それは人事の案件だろ』と取り合ってくれず、ほとんど無収入のまま辞めました」(46歳・女性)
保険会社の場合、社員ではなく個人代理店の募集であることも多いから、事前に雇用形態の確認が必要となる。
「独立して店舗を持ちたかったので、『管理者としてマネジメント能力を磨ける!独立の夢に近づける』という触れ込みの外食デリバリーの店長に。いざ働いてみると、朝から終電まで激務の毎日。仕事内容もマニュアルどおりで、店舗のマネジメントには一切口を出せない。文句ばっかり言う厨房の中国人の相手をさせられる毎日に、とうとうエリアを統括する上司に『与えられた仕事を黙々とこなすだけで、店舗経営のノウハウも学べない。どこが夢に近づけるんですか?』と言ったら、『働いて貯金すれば店舗くらい持てるだろ』とニヤニヤしながら言われて…。そんなのどの会社でも一緒じゃないっすか!」(34歳・男性)
夢、やりがい、具体性のない言葉ほど、ダマしやすいものはない。
建前:その実力か居ます!来たれ幹部候補生→本音:正社員なら誰でも幹部候補生みたいなもの
建前:専門分野のエキスパートを目指せます!→本音:目指すのはその人次第、ま?頑張ってね
建前:未経験でも大活躍できる会社です!→本音:誰でも簡単にできる仕事なんですわ
建前:その夢、この会社でじつげんさせてみませんか→本音:夢は人それぞれ。とりあえずこう書いとこう
建前:モノづくりの現場を支える仕事です→本音:工場労働者としてキツい仕事を覚悟して
求人誌や求人サイトにデカデカと書かれているメインコピー。その多くは転職希望者をその気にさせるものばかり。逆援助会社の建前と本音を見極めて転職活動に勤しむべし!